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レポート

2025.9.3@大正大学地域人材育成論講義内開催報告~大学生が地域人に必要なSDGsと地域ウェルビーイングの視点を地域通貨のあり方で体感する「エミー・ゼニー・クラシック」開催レポート

2025年9月3日(水)大正大学公共政策学科の夏期集中講義「地域人材育成論」(講師:桝野光路、本レポート筆者)の第7回地域ウェルビーイングと地域人材【ワークショップ演習回】の中で、履修生もツール作りから参加した手作りの「エミー・ゼニー・クラシック」を開催しました。ファシリテーターは、今回がデビューセッションとなった、講義担当の筆者。予備予算ゼロなので、ファシリテーターひとりで開催する予定でしたが、昨年度の教え子の『シェ・福田』が一夜漬けの学習でお手伝いを買って出てくれましたが、見習い2人の心細いセッションで始まりました。

【講義より夢中になるツール作り】

集中講義では、地域人材に必要な知識の一つとして社会的ウェルビーイングを備えてもらうことをシラバスにしています。そのための地域ウェルビーイングを体感するアクティブラーニングとして採用させていただきました。そのため今回が初めての取り組みで、見習い開催という点以外の大きな不安でもありました。
さて、はじめからアイスブレイクです(笑)。履修生全員でゼニー(銭)とケーキの材料をハサミでチョキチョキするツール作りのワークショップをしました。思いのほか時間がかかり焦りました。学生たちは几帳面さに個人差があり、イチゴを四角く切る者がいれば、イチゴのヘタを完璧に切らないと気が済まない者まで、両極端な学生の側面が見れたりして、普段のセッションでは感じられないこともありました。ちなみに、ペーパー以外のツールを写真の付箋のような使い方もしました。レストラン役には、鳴り物も大切な道具です。成人した娘の子育てツールがこんな日に役立つとは思いもしませんでした。履修生のみんなありがとう!

【ファシリも参加者もソワソワ『ゼニー・セッション』】

いよいよ、ゼニー・セッションが始まりました。ファシリも参加者も警戒しすぎてスローなスタートです。ファシリは、見習いが抜けきれずマニュアルの棒読み。参加者の学生たちは棒読みのマニュアルを忠実に受け取ったのか、顔色を気にするセッションのスタートでした。あまりにも動かないセッションに、5分を回ったあたりにレストラン役がアドリブで「限定一店のみ120ゼニー(銭)」に助けられ多少は動き出したといったゼニー・セッションでした。

【ありがとうの最大化と言われた安心感『エミー・セッション』】

後半戦は、エミー・セッション。少しだけ慣れてきたファシリから、エミーの思想を聞いて安心したのか、市場が目に見えて活況を呈してきました。サインペンも走ります。まだまだ、感情が正直な世代なのかもしれません。普段の履修態度からは想像ができない笑顔がいっぱい見ることができました。しかし、一つ判断に苦しむエピソードがありました。普段笑顔を見せない一部の学生が博打を始めてゼニーを交換し始めたのです。大した金額ではなかったので制限時間で切りましたが、これは、エミーのユートピアなのか?一つ間違えるとデストピアなのか?学生は何をしでかすか分からない側面でした。

【セッション後のリフレクションをご紹介】

エミーとゼニーのゲームに参加して最も印象的だったのは、目的をどこに置くかで自分の行動や気持ちが大きく変わるという体験だった。

  • ゼニーを追い求めたときよりも利益が大きくなったことには驚きを隠せなかった。
  • 利他の姿勢が巡り巡って自分にも返ってくるということを、数字として体感できたのは大きな学びであった。
  • この体験を通じて、お金や利益だけに目を向けるのではなく、人とのつながりや感謝の気持ちを軸に置くことで、より持続的で豊かな成果が生まれるのだと実感した。
  • 単なるゲームの枠を超えて、日常生活や将来の働き方にまで通じる気づきが得られたことが、このワークショップの大きな魅力だと感じた。
  • 自分の利益よりも他者のための利益を考えたほうが結果的に大きな利益があることを可視化しており、とても面白いと感じた体験だった。
  • 社会を支えるには、単に効率性を求めるのではなく、人々が持つエニーをどう引き出し、循環させるかを考えていくことが大切だと思う。
  • 自分自身も将来はエニーを生み出す側・つなぐ側として地域経済に関わりたいと感じた。